こんにちは。
ゴールデンウィークも明け、暖かい日が続くようになってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回はカンピロバクターについてお話ししたいと思います。
私の知人は実際にカンピロバクターに感染してつらい思いをしていたので、このブログが皆様のご理解の一助となれば幸いです。
カンピロバクターとは、食中毒を起こす病原菌の1つです。
カンピロバクターは鶏や豚、牛や野生動物などの腸管に存在します。鶏が保菌している割合が特に高く、市販されている鶏肉は高い確率で感染していると言われています。
【主な感染原因】
鶏刺しなど鶏肉を生の状態や十分に加熱せずに食べること、鶏肉を取り扱った手指・調理器具を介して他の食品にカンピロバクターが付着し、その菌を摂取することなどが考えられます。
また消毒が不十分な井戸水などから感染する場合や、牛レバーの生食によるもの、感染した人や動物からの接触感染もあります。
カンピロバクターは少ない菌量でも食中毒を起こします。またカンピロバクターは冷凍しても完全に死滅することはなく、カンピロバクターが付着していても味やにおい、見た目の変化も特にありません。
【症状】
カンピロバクターに感染すると、下痢、腹痛、発熱の症状が特に多く見られ、吐き気、嘔吐、倦怠感、頭痛、筋肉痛などが起こることもあります。
菌を摂取してから発症までの潜伏期間は2日から5日と、他の食中毒菌と比較して長いのが特徴です。
感染の有無は、便検査で便中にいるカンピロバクターが確認できれば診断が確定します。しかし症状と経過から推測し治療が開始される場合もあります。
【予防策】
調理前や肉を触った後は、石鹸を使用した丁寧な手洗いをすることが大切です。また肉を調理する際はなるべく専用のまな板を使って調理し、野菜などと共用しないようにしましょう。包丁やまな板を使うときは、先に生野菜などの食品を切り、生の肉は後で切るなどの工夫もできます。やむを得ない場合は、調理器具は次の食品を扱う前に必ず洗剤を使用して洗いましょう。
使用した調理器具からカンピロバクターを除去するためには、調理器具を洗浄後、熱湯をかけることが効果的とされています。
カンピロバクターは65℃、数分の加熱でほぼ死滅します。肉の中心部の色の変化(生の肉の色から白色へ)が、加熱状態を判断する目安です。バーベキューなどで肉を強い火で炙ると、表面は食べ頃に見えても肉の中心はまだ火が通っていないことがあるので注意が必要です。
【治療法】
ほとんどの場合、特に治療をしなくても1週間以内に治るため、対症療法が基本となります。
経口補水液などにより水分・塩分補給をこまめに行い、食事を口にする場合は消化の良い食品を少しずつ摂取するようにします。脱水の程度によっては、点滴による治療が必要になる場合もあります。また高熱、出血を伴った下痢がみられる場合や症状が悪化している場合には、抗菌薬を用いた治療が行われることもあります。
自己判断による下痢止めの服用は症状が悪化する場合もあるので、下痢や腹痛がひどい場合は、必ず医療機関の診察、適切な治療を受けてください。
少しでも気になる症状がございましたら、当院にお気軽にご相談ください。