今回は、憩室出血についてです。
大腸憩室については、2020年2月のブログで詳しくお話しさせていただいてますので、是非そちらの投稿もお読みいただければと思います。
大腸憩室とは、消化管壁の一部が外側に突出し、袋状の形になった状態をいいます。
憩室は食道、胃、十二指腸、小腸、大腸のいずれにもできますが、大腸にできることが一番多いといわれています。
先天性の場合もありますが、ほとんどの場合は後天性であるといわれ、大腸の壁の強さと腸管内の圧力のバランスが崩れることでできると考えられています。
憩室は、大腸カメラを行うと10%くらいの方で見つかりますが、無症状のことがほとんどで、治療の必要はありません。
出血や憩室炎を起こすと治療が必要となります。
憩室があっても大半の方は無症状のまま生活をされています。
しかし、憩室に糞便が溜まったまま長時間が経つと、内部で細菌が増殖し、憩室に炎症が生じます。
これを「憩室炎」といい、腹痛や発熱、また下痢症状などが出現します。
また、憩室内の血管が貯留した便によって傷つけれられたりするなどして出血することを「憩室出血」といいます。
憩室炎と違って腹痛や下痢、発熱は見られませんが、突然に鮮やかな出血、あるいは赤黒い出血を多量に認めることが特徴です。
糖尿病・高血圧症・虚血性心疾患を治療中の方や、抗血栓薬や鎮痛薬(NSAIDs)を内服中の方に起こりやすいので、これに該当する方は注意が必要です。
憩室出血では、まず大腸カメラを行い、出血している憩室が確認できた場合は、医療用のクリップを出血部位に掛けて止血を行います。
しかし、憩室は多発していることが多く、どの憩室から出血したか分かりにくいこともあります。
さらに憩室出血の4分の3程度は自然止血するため、実際に内視鏡で観察した場合には既に止血している場合も少なくありません。
内視鏡を行って出血している憩室が分からなかった場合は、造影CTや血管造影検査などの別の検査で出血部位を評価することもあります。
また、ごくまれですが、大出血を起していて内視鏡では止血できない場合があります。
そのような大出血の際や、内視鏡の止血後も頻回に出血をくりかえすときなどはカテーテル治療(動脈塞栓術)や外科的切除(腸管ごと切除する手術)を行うこともあります。
適切な治療を行って症状が改善したとしても、憩室は自然になくなることはないため、憩室炎も憩室出血も非常に再発しやすい疾患とされています。
一旦止血しても約4割が再出血すると言われており、出血量が多く輸血を必要とする場合もあります。
とくに、血液をサラサラにする作用のある抗血小板薬あるいは抗凝固薬を内服中の場合には自然止血後も再出血する危険があるため注意が必要です。
突然の出血には驚かれる方が多いと思いますが、腹痛や下血・血便が出現した際には早めの受診が重要です。
当院はネット予約を24時間受け付けております。気になる症状がこざいましたらまずは外来診察をご予約いただければと思います。もちろん、お電話でもご予約可能です。
最後までお読みいただきありがとうございました。