短い梅雨が明け蒸し暑い日々が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回は、当クリニックでも多くの患者さまが受診される理由でもある「便秘」についてお話させていただきます。
何日も排便がない、排便があっても残便感がありすっきりしない、腸にガスが溜まってコポコポ音が鳴ってしまう、お腹が張ってしまって苦しいなど、患者さまによってお悩みは様々かと思います。
ひとくちに「便秘」といっても、原因によっていくつかのタイプがあるのはご存じでしょうか。今回は便秘の種類と主な特徴、対処法についてご紹介します。
便秘は、機能性便秘3種類と器質性便秘の計4種類に分けられます。
【機能性便秘】
- 弛緩性便秘
大腸の運動が低下することによって起こる便秘です。
腸管の緊張が緩み、便を移動させる機能が低下することによって、大腸内に便が長く留まります。その間に水分が過剰に吸収され、便が硬くなるタイプで、女性や高齢者に多いと言われています。
お腹が張る、残便感、肩こり、肌荒れ、イライラなどの症状も起こります。
運動不足、水分不足、腹筋力の低下等が誘因となっています。
- 痙攣(けいれん)性便秘
大腸の緊張状態によって起こる便秘です。
副交感神経の過度の興奮によって腸管が緊張してしまい、便がうまく移動しなくなる状態です。ころころとした硬い便が特徴です。
食後に下腹部痛、残便感などの症状が起こり、便秘と下痢を繰り返す場合もあります。
精神的なストレス、環境の変化、過敏性腸症候群等が誘因となっています。
- 直腸性便秘(習慣性便秘とも言われます)
便が直腸に達しても排便反射が起こらず、直腸に便が滞留してしまうタイプです。
高齢者や寝たきりの状態の方や、排便を我慢する習慣がある方に多く見られます。
【器質性便秘】
腸閉塞、大腸がん、腸管癒着などの器質的な原因があって、消化管に通過障害が起こるタイプです。血便、激しい腹痛、嘔吐などの症状があれば、迷わず病院へ行くことをお勧めします。
次に、自分で出来る便秘の予防策についてご紹介します。
- 食事について
・食事のリズムを整えましょう。1日3食を心がけ、特に朝食を抜かないことが大切です。
・食物繊維を摂りましょう。食物繊維は腸の運動を高め、便の排出を助けます。穀物、芋類、豆類、寒天、果物が代表的な食品です。
・水分をしっかり摂りましょう。水分を多く含んだ便は、便の容積が増して腸に刺激を与えてくれます。特に、朝に一杯の冷たい水や牛乳を飲むことを習慣づけましょう。
・極端なダイエットは避けましょう。大きく食事量を減らすと食物繊維や水分も不足してしまいます。減量時に避けがちな脂肪分ですが、便の滑りが悪くなってしまいます。排泄のリズムが崩れると身体に悪影響を及ぼすため、バランスの取れた食生活を心がけましょう。
・腸内環境を整える食品を摂りましょう。乳酸菌を含むヨーグルトや、納豆などの発酵食品は、腸内環境を整え便秘を改善してくれます。
- 運動について
適度な運動を心がけましょう。運動不足は便秘の大きな原因になります。
・腹筋運動をしましょう。肛門に圧力をかけて便を押し出すときに必要なのが腹筋の力です。腹筋運動は腹部の健康を促進して胃腸の働きを高め、自律神経にも作用し排便を促します。特に、上記で述べた弛緩性便秘の方に効果があります。
・ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガなど日々の全身運動を心がけましょう。
・おなかのマッサージも排便を促す効果があります。大腸の形をゆっくりなぞるように、手でおなかをマッサージしましょう。
- トイレについて
・朝食後に必ずトイレに行くようにしましょう。朝食後は、食べ物が胃に入り排便を促す指令が最も出やすいタイミングです。朝は忙しい方が多いですが、トイレに長く座る習慣をつけられるよう、早起きも心がけましょう。
・なるべく排便を我慢しないようにしましょう。便意が起こっているのに我慢することを繰り返していると、直腸における排便反射が弱くなります
以上述べてきたように、便秘が続き排便が困難になると、腹痛や食欲不振、また肌荒れや肩こりなど、身体の様々な箇所に悪い影響が出てくる場合があります。また、腸の病気になってしまうことも少なくありません。
まずは、バランスの良い食事や、適度な運動、ストレスの少ない生活を心がけ、排便状態の改善を目指しましょう。
それでも改善しない場合は、便秘について相談することが恥ずかしいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、今抱えている悩みを放っておかずにぜひ当クリニックにご相談くださいませ。
※当クリニックは完全予約制となっております。ホームページやお電話よりご予約をお待ちしております。