7月も後半となりました。最近は雨が多く、じめじめと暑い日が続いておりますが、体調はお変わりないでしょうか。
突然ですが、皆さんが「夏」と言って思い浮かべるものは何ですか?
スイカ、かき氷、アイス、海、プール、お祭り、縁日、花火…美味しいものや楽しいことがたくさんありますよね!
しかし、夏ならではの危険な病気もあります。今回はその中の1つ、熱中症についてお話ししたいと思います。
熱中症は近年ニュースなどでもよく耳にする病気ですが、具体的にはどのような病気なのでしょうか。
人間の身体は、暑さで体温が上がると汗をかき、その汗が蒸発することで身体の熱を外に逃がし、体温を下げ、平熱を保っています。
また、皮膚温度が上昇することでも、体内の温度を保つことが出来るようになっています。
しかし、体温が上がっても汗や皮膚温度による体温調節ができなくなったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすると、熱中症になってしまいます。
熱中症になると、めまい、けいれん、頭痛、吐き気など、さまざまな症状が引き起こされます。
では、一体どのようなときに熱中症にかかってしまうのでしょうか。
熱中症を引き起こしてしまう原因は、大きく分けて3つあります。
1つ目は環境です。
・気温が高い
・湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い
・急に暑くなった
このような環境下で、熱中症は発症しやすくなっています。
熱中症というと真夏の炎天下でかかるイメージを持たれている方が多いかと思いますが、そうではないのです。
今日はそんなに気温が高くないから大丈夫!と思っても、雨が降って湿度が高い日などは熱中症にかかりやすくなっています。
急に暑くなった梅雨時に熱中症を発症することもあります。
2つ目は身体の状態です。同じ環境下にいても、次のような方は熱中症を発症しやすくなっていますので、特に注意が必要です。
・高齢者や乳幼児
・肥満の方
・糖尿病などの疾患がある方
・下痢などによる脱水状態、または低栄養状態の方
・二日酔いや寝不足で体調不良の方
暑い夏にキンキンに冷やしたビールを飲むのがたまらない!という方も多いと思います。
ですが、二日酔いによる体調不良も熱中症を発症する可能性を高めてしまいます。
お酒は、体調管理に気を付けながら程々に、が良いですね!
3つ目は行動です。
激しい筋肉運動や慣れない運動をしたときに熱中症のリスクが高くなります。
また、長時間の屋外作業や水分補給できない状況が長く続くときなども注意が必要です。
では、家の中でじっとしていれば大丈夫かというと、そうではありません。
救急要請時の発生場所では、住宅等居住施設が最も多いそうです。
エアコンを使うなど、家の中でも室温と湿度を適切に保って過ごすようにしましょう。
次に、熱中症にかかってしまったらどうすればよいか、お話しします。
熱中症にかかってしまったときの対応は、症状によって次の3つの段階に分けられます。
・立ちくらみ
・筋肉痛、筋肉の硬直
・大量の発汗
このような症状がみられましたら、
①涼しい場所に避難し体を冷やす
②水分と塩分を補給する
③安静にして十分な休息をとる
といった応急処置を行いましょう。
応急処置を行って回復すれば問題ありませんが、回復しなければ医療機関を受診するようにしてください。
・頭痛
・気分の不快
・吐き気、嘔吐
・倦怠感、虚脱感
このような症状がみられる場合は、応急処置を行いつつ、医療機関を受診することをお勧めします。
特に吐き気、嘔吐の症状がある場合、口から水分補給をするのは良くありませんので、医療機関で点滴等の処置を受けましょう。
・意識障害
・けいれん、手足の運動障害
・体に触ると熱い(高体温)
このような症状がみられる場合は、危険な状態です。
医療機関を受診してください。
特に、呼びかけても反応がない、反応がおかしいと感じた場合は、すぐに救急車を呼んでください。
ここまでで、熱中症は身近で怖い病気だということがわかっていただけたかと思います。
最後に、熱中症にかからないために気を付けると良いことについてお話しします。
- 「暑さを避ける」
熱中症が怖いから外に出ない!というわけにはいかないですよね。
外出時には、なるべく日陰を歩いたり、帽子や日傘を使ったり、暑さを避ける工夫をしましょう。
最近は手持ちや首にかけるミニ扇風機を持っている方も多くみられますね。
家の中では、カーテンなどで直射日光を遮ったり、エアコンや扇風機で室温・湿度を調整したりしましょう。
- 「服装を工夫する」
外からの熱の吸収を抑え、体内の熱をスムーズに逃がすことのできる服装を心掛けましょう。
具体的には吸水性や通気性の高い綿や麻などの素材の物、熱がこもらないように襟ぐりや袖口があいたデザインの物がお勧めです。
暑いのでなるべく薄着で過ごしたいかと思いますが、インナーは着るようにしましょう。
インナーを着た方が、肌とインナー、インナーとアウターの間に空気の層ができるので、外からの熱気を遮断してくれて涼しく感じます。
- 「こまめに水分補給をする」
暑い日には気がつかないうちに汗をかき、体内の水分が失われています。
のどの渇きを感じなくとも、まめに水分補給をしましょう。
その際、コーヒーや緑茶などのカフェインが多く含まれている飲み物、アルコール類は、利尿作用があるので適していません。
また、汗をなめるとしょっぱく感じると思いますが、汗には塩分も含まれています。
水分だけでなく、適度に塩分を補給することも大切です。
「暑さに備えた体作りをする」
先に述べたように、急激な気温の変化が熱中症を引き起こします。
日頃から適度な運動で汗をかく習慣を身につけ、暑さに身体を慣らしておくことで、熱中症を予防することが出きます。
今年は6月の終わり頃から気温の高い日が続いていますが、これからが夏本番です!
楽しい夏を健康に過ごすために、一人一人が適切な熱中症対策を行っていけるといいですね。
熱中症、または熱中症以外でも体調に不安を感じた際には、遠慮せず医療機関にご相談ください。
当クリニックは予約制となっております。ホームページやお電話よりご予約をお待ちしております。