こんにちは。
少しずつ暖かい日が増えてきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は当院の患者様にも多い痔、その中でも【妊娠中・産後の痔】についてお話しようと思います。
妊娠中や出産後には、おしり周りのトラブルが多いとされています。
海外での研究によると、妊娠初期から出産後1ヵ月までの間に、40%以上もの女性が、いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)、またはその両方の痔を発症したと報告されています。
他にも、特に妊娠中期~後期に限ってみると、85%の妊婦がいぼ痔(痔核)を発症したとの海外データもあります2)。
また、もともとあった痔が妊娠・出産を機に悪化するケースもあります。
妊娠時は、お腹の中で赤ちゃんが育てているため、子宮が大きくなるにつれて周りの血管や腸を圧迫し、痔の原因となる血液循環の悪化や便秘などを引き起こします。
また、黄体ホルモンという女性ホルモンの分泌が盛んになることも、うっ血や便秘を誘発する原因となります。
さらに出産時は、いきみによるおしり周辺への大きな負担に加え、会陰の裂け目や切開の傷を縫合することにより、肛門周囲の筋肉や神経が傷付き、痔の原因になることもあります。
妊娠初期や出産後しばらく経ってからよりも、妊娠後期から出産直後に痔を発症するケースが多いのはそのためです。
妊産婦さんの痔の治療は、できるだけ保存的治療(坐薬や内服薬等のお薬の治療)を試みますが、妊娠初期での薬の使用は避けたほうがよく、薬の成分によっては使用してはいけない場合がありますので、自分で判断せず専門医を受診しましょう。
また、重症の痔で痛みが激しい場合には、一般的に安定している20〜32週の間に手術を行うこともあります。
また対策方法としては、食物繊維の多い食事を心がけ便秘を避ける・体を冷やさないようにすることが大事です。
また安定期に入ったら積極的に運動することが大切です。マタニティビクスや散歩など、妊娠中でも安心してできるものいいと思います。
食事以外では便意を我慢しないこと。我慢すると便が固くなるため、便意を感じたらすぐにトイレへ行くのが理想です。
ただし排便時間は3分以内で残便感がある場合も全部出そうとするのではなく、残っている便は放っておいて大丈夫です。
また、おしりまわりを清潔に保つには、温水洗浄便座を使うのが良いとされています。
多くの女性が妊娠中・産後に痔の症状を抱えてらっしゃいます。
当院では木曜日に女性医師の担当日を設けておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。