皆様、最近益々暑くなってきましたがいかがお過ごしでしょうか?
熱中症に気を付けてこの夏も乗り切りましょう。
今回は胃痛について書かせて頂きます。
胃痛は主にストレスや暴飲暴食によって胃の粘膜が損傷することで起こります。毎日の生活習慣が要因となることの多い身近な症状ですが、胃炎や胃潰瘍につながったり、ほかの病気が隠れていることもあるので、原因を正しく知っておきましょう。
【胃痛の主な要因はストレスや食事⠀】
精神的なストレス、刺激の強い食べ物や飲み物の摂りすぎは胃痛を引き起こす主な要因となります。胃の中を検査すると胃炎や胃潰瘍など痛みの原因となる病気がみつかる場合もありますが、特に原因が無くても痛みが生じる場合もあります。
ストレスは胃痛を引き起こす主な要因です。精神的なストレスがあると、胃の働きをコントロールしている自律神経のバランスが崩れ、さらに胃粘膜防御機能が低下し、胃酸が胃粘膜を刺激することで痛みを生じます。胃の状態としては、胃粘膜が傷つき、炎症や潰瘍(粘膜が深くえぐられた状態)ができやすくなるので注意が必要です。
また、辛い料理を食べすぎたり、アルコールやコーヒーを飲みすぎたりすると、胃粘膜が直接刺激されて傷つきやすくなります。喫煙も胃粘膜への血流を低下させ、胃粘膜防御機能を弱めます。
胃の中を検査すると胃炎や胃潰瘍などの病態がなくても痛みが生じる場合があります。さまざまな要因が絡み合って起こるといわれ、現在でも増えている疾患です。胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者の多くから、ピロリ菌が確認されています。ピロリ菌は毒素やアンモニアを発生し、それにより胃粘膜を傷つけます。さらに、潰瘍の再発や胃がんとの因果関係が指摘されており、検査で感染が確認された人には除菌治療が推奨されています。胃液は99%が水分ですが、「胃酸」「ペプシン」「胃粘液」という3種類の成分が含まれており、胃の働きに大きく関わっています。胃酸は、金属も溶かすほどの強力な酸(ph1~2)で食べ物を消化すると同時に、食べ物と一緒に侵入した細菌のほとんどを殺菌します。ペプシンはタンパク質を分解する消化酵素です。
胃粘液は胃の粘膜を覆って、胃酸やペプシンからの刺激を防いだり、胃自体が消化されてしまわないように守っています。正常時、胃酸と胃粘液の分泌量は自律神経の働きでバランスが保たれています。しかし、ストレスや食事などの要因により胃酸分泌が促進されたり、胃粘液の分泌が減ったりするとバランスが崩れ、胃粘膜が胃酸の刺激を受けることになります。
ほかにアルコール、タバコ、かぜ薬などもバランスを崩す要因とされています。胃痛はみぞおちの痛みのほか、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胸やけ、食欲不振などの症状を伴うこともあります。症状により、食後に痛む場合と、空腹時や夜間に痛む場合があるといわれています。胃の内容物が食道や口腔内に逆流する「逆流性食道炎」では胸やけ(胸骨の下からみぞおちにかけて焼けるようなヒリヒリ感)や呑酸(苦味を伴う酸っぱい味覚)などの症状がみられます。
【医療機関での受診をおすすめする場合】
・痛みが激しい場合や繰り返し起こる場合、市販薬を飲んでも改善しない場合は、胃潰瘍などの疾患が隠れている恐れがあります。
・みぞおちの痛みは虫垂炎や膵炎、がんなどのサインである恐れもあります。痛みがだんだん右下方に移動する、激痛、発熱、嘔吐・下痢を伴う場合は受診しましょう。
・みぞおちの圧迫感、絞扼感、灼熱感のような痛みがある場合は、心臓の病気の恐れがあります。
・黒いタール便(海苔の佃煮状の真っ黒な便)が出た場合は、胃潰瘍、胃炎などが原因である可能性があります。
当院では苦痛の少ない鎮静剤を用いた内視鏡検査を行っておりますので、少しでも胃の症状の心配事がございましたら、検査を受けて頂くことをおすすめ致します。