新しい年を迎え、早いもので2週間が経ちました。
寒い日が続きますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
現在、コロナウィルス感染を予防するための手指消毒やマスクの着用、親しい人たちとの会食の制限など、私たちの生活は大きく変化しています。
これまで経験したことのない生活の変化に、ストレスを抱える人も少なくないでしょう。
さて、今回は、ストレスとも大きく関係のある、過敏性腸症候群についてお話ししたいと思います。
過敏性腸症候群は、お腹の痛みなどが生じ、それに伴って便秘や下痢など、お通じの異常が長い間続く状態のとき、最も考えられる病気です。(大腸に腫瘍や炎症などがないことが前提になります。)
およそ10%の人がこの病気であるといわれており、よくある病気といえます。
どちらかというと女性のほうが多く、年齢とともにかかる人が減っていることがわかっています。
命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛み、便秘・下痢、不安などの症状のため、日常生活に支障をきたしがちです。
過敏性腸症候群は、なぜ起きるのでしょうか。
腸は食べ物を消化・吸収するだけでなく、不要なものを便として体の外に排泄します。
そのためには、食べ物を肛門に移動させるための腸の運動と、腸の変化を感じとる知覚機能が必要です。
運動や知覚は脳と腸の間の情報交換により制御されています。ストレスによって不安状態になると、腸の運動が激しくなるとともに、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。
この状態が強いことが、過敏性腸症候群の特徴です。
実際に、大腸に風船を入れて膨らませて刺激すると、健康な人は、強く刺激しないと腹痛を感じないのに対し、過敏性腸症候群の患者さんは、弱い刺激でも腹痛を感じてしまいます。
過敏性腸症候群に対する薬物療法以外の治療は、主に、食事療法と運動療法です。
炭水化物あるいは脂質を多く含む食事や、カフェイン、アルコール、香辛料などを多く摂るとることにより、腹痛や便通の変化が起きやすくなります。
また、便秘傾向の方の場合、食物繊維を多く含む食品が効果的です。
さらに、適度な運動は症状の軽減が期待できますので、運動不足の方は、感染対策に注意しながら継続可能な運動を行ってみてはいかがでしょうか。
感染拡大防止対策のため外出の機会が減りがちですが、そのぶん、自分の体と向き合う時間が増えたのではないでしょうか。
この機会を好機ととらえ、自分の体をいたわる食事や、適度な運動のあり方を一緒に考えていきましょう。
市川すずき消化器・内視鏡クリニックは、皆さまの生活や健康を一緒に考えます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。