今回は「膵臓の病気」についてお話します。
「膵臓の病気」と聞くと怖いイメージがあると思います。
当クリニックでも、「膵臓が心配だから検査をしてもらいたい」「背中が痛いので膵臓がんが心配だ」というお話をされる患者様が数多くいらっしゃいます。
膵臓がんは予後の悪いがんとして知られていますが、そもそも膵臓という臓器自体があまり馴染みのない臓器ではないでしょうか?
膵臓は、胃の裏側にある、大きさ約15cm×3cmで、重さ70g程度の鉤型をした臓器です。
膵臓自体が比較的小さい臓器であるため、膵臓がんは他の臓器に浸潤しやすく、また胃の裏側にあるためエコーなどの画像診断で発見が遅れてしまいがちなこと、痛みや黄疸などの症状がでにくいことなどから、膵臓がんは予後がよくないと言われています。
膵臓の役割としては、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンを体内に分泌したり、膵液という液体を十二指腸へ分泌することで食べものの消化を助ける役割があります。
膵臓には様々な病気があります。
大きく「腫瘍」と「炎症」にわかれます。
「腫瘍」は、膵臓がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍(膵IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍など、いくつもの種類があります。
なかでも膵臓がんは予後がよくないため、早期発見が非常に重要です。
症状もでにくく採血データでも初期には異常値が現れにくいため、早期発見が難しい病気でありますが、健診や定期的な画像検査をすることで、発見されます。
また背部痛などの症状、急に血糖値のコントロールが悪くなったなどが際には、すみやかに受診していただくことが大切です。
膵管内乳頭粘液性腫瘍(膵IPMN)は、以前は珍しい病気とされていましたが、画像検査の進歩に伴い、発見される頻度が増えてきています。
こちらも膵臓がん同様に症状がでにくいことが特徴です。
時間をかけて増大することが多く、見つかった際には定期的なフォローアップが必要となります。
「炎症」は、いわゆる膵臓炎です。
膵臓炎にもいくつか種類があります。
急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎などです。
急性膵炎は、アルコール多飲、胆石、脂質異常、特定の薬剤などが原因とされていますが、原因不明のこともあります。
以前は致死的になることもありましたが、最近では治療法の確立、初期治療の重要性が認知されてきたことで、死亡率も減少しています。
慢性膵炎は、アルコールが原因となることが多いです。
膵臓の中に石ができてしまうこと(石灰化)、膵管という膵液の通り道を塞いでしまうことで、腹痛が慢性的にでてきてしまうことがあります。
自己免疫性膵炎は、近年「IgG4関連疾患」の一部、として考えられることのある病気です。腹痛、黄疸などで発症することもありますが、無症状のかたもいます。
比較的珍しい病気で、ステロイドが効くことが知られています。
どのタイプの膵炎も、画像検査と初期治療が重要です。
そのためには、定期的な受診や、症状がある際にはすみやかに受診していただいたことが大切と考えます。
膵臓の病気はいずれも初期には無症状のことも多いため、スクリーニング的な意味合いで検査を受けていただくことにも十分意味があると思います。
少しでも気になる方はぜひ検査を受けてみてください。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。