皆さん、潰瘍性大腸炎とクローン病についてはご存知でしょうか??
どちらもあまり聞き慣れない病気かもしれません。
ですが1990年代以降より患者数は年々と急激に増え続けており、潰瘍性大腸炎は約20万人、クローン病は7万人に達しています。
どちらとも炎症性腸疾患に分類され、共通点の多い疾患です。そんな潰瘍性大腸炎とクローン病ですが、どのような病気なのでしょうか??
そもそも、炎症性腸疾患とは、広い意味では腸に炎症を起こす疾患全体を指します。2つの疾患は良く似ていますが発症部位が、潰瘍性大腸炎は大腸に限られ、クローン病は消化管全体(口腔から肛門まで)にわたる点で異なります。どちらも、原因が不明で根治させるための療法が見つかっておらず、厚生労働省によって難病に指定されており、医療費の助成を受けることができます。
【潰瘍性大腸炎】
10代から40代と幅広い世代の患者さんがみられ、特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
【クローン病】
主として若年者にみられ、小腸の末端部が好発部位で、非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)が特徴です。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じる病気です。
はっきりとした原因はまだわかっていません。
ただ複数の原因が関与していると考えられています。遺伝子的要素に加えて、脂肪の多い「欧米化した」食事や腸内細菌の変化などの環境因子が加わり、免疫の過剰(免疫がバランスを失う)によって炎症を起こすと考えられています。
また、両親が潰瘍性大腸炎の場合はその子どもが炎症性腸疾患になるリスクは、健常な人と比べるとやや高いです。
近年の世界的な炎症性腸疾患の頻度の増加については、遺伝的要素だけでは説明がつかず、食生活などほかの因子の関与の方が大きいと考えられています。
診断をつけるにあたっては、大腸内視鏡検査と、そこで採取した組織の病理検査によって総合的に判断して診断されます。潰瘍性大腸炎では特徴的な病変の有無を確かめることができますし、炎症の状態や範囲を把握できるため適切な治療が可能になります。肛門周囲膿瘍や痔ろうなどによってクローン病が発見されるケースも少なくありません。
治療については、
【潰瘍性大腸炎】
5-アミノサリチル酸製剤(リアルダ・アサコールなど)とステロイド製剤で始めることが多いです。また炎症が直腸やS状結腸など肛門に近い部位にある場合には注腸療法や座薬を使うこともあります。
【クローン病】
栄養療法と薬物療法があります。
栄養療法は、脂質が病気の再燃の引き金になると考えられるため、脂肪を制限した栄養剤を服用する治療がこれに当たります。大切な療法の1つです。
薬物療法は5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド製剤、免疫調節剤などを使って、免疫異常や腸管炎症を抑制し症状を改善させます。
大腸内視鏡は皆様の中で辛いイメージをされている方が多くいらっしゃると思います。
現在、大腸検査以外でも症状を把握しようと研究が行われています(MRエンテログラフィーや、カプセル内視鏡、X線を使った消化管透視検査など)。ただ、炎症性腸疾患を長期間患っている方では、大腸がんができやすいとされています。
このような炎症性腸疾患にかかわる大腸がんの診断には、内視鏡検査や生検(組織の一部を採取すること)による病理学的検査が必要です。
少しでも気になるような症状がございましたら、是非1度ご受診に来られてください。
当院では事前予約制となっております。
ご予約はネット予約・電話予約または直接受付でもお受けできます。
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最後までお読み頂きありがとうございました。