今回のブログはバレット食道についてお話しさせていただきます。
胃酸を含む胃内容物が食道に逆流し停滞すると、食道の粘膜は荒れてしまい逆流性食道炎が発症します。
逆流性食道炎とは、食道の粘膜にびらんや潰瘍が発生した状態ですが、そのびらんが治癒していく過程で食道の粘膜が、胃液からの攻撃を守るために胃の粘膜に変化してしまいます。
変化の範囲が少ない状態を「バレット粘膜(上皮)」、範囲が広くなった状態(具体的には長さが3cm以上)の状態を「バレット食道」と言います。
胸やけなどの症状が見られることがありますが、無症状の場合も少なくありません。
バレット食道の診断は内視鏡(胃カメラ)で行います。
バレット食道そのものは生命に大きく関わる状態ではありませんが、バレット食道は食道にない胃の粘膜であり組織的に弱く、度重なる胃酸の刺激が加わると耐え切れず炎症を繰り返し食道がんの原因となってしまいます。
日本人の食道がんの90%以上が、「食道扁平上皮がんで、お酒やタバコが原因になることが多いタイプです。
一方、バレット食道に発生するがんは『食道腺がん』という欧米人に多いタイプの食道がんで、日本ではまだ珍しいタイプです。
①ピロリ菌の除菌が進んだこと
②ピロリ菌がそもそもいない人が増えたこと
③食の欧米化したこと
により胃酸の分泌量が増え、結果として逆流性食道炎の方が増加したためバレット食道を発症する方が増えていると考えられています。
バレット食道が出来ると改善することが難しいため、今後の進行を抑える治療がメインになります。
逆流性食道炎で悪化するのを防ぐため、過剰な胃酸の分泌を抑える内服薬を服用していただくことがあります。
バレット食道腺がんに対しては胃がんや食道扁平上皮がんに準じて治療を行います。
がんが粘膜内にとどまる状態で早期発見できれば内視鏡での治療が可能です。
そのためバレット食道と診断された場合、過度に心配するのではなく定期的に胃カメラで経過観察を行うことが大切です。
当クリニックでは、直接来院していただかなくても、電話、メール、HPからのweb予約にて胃カメラ検査を予約することができます。
胃カメラは苦しくてつらい検査というイメージがありますが、当クリニックでは鎮静薬を用いて、できるかぎり苦痛の少ない検査を行っております。
気になる症状がある方や胃カメラ検査をしようか悩んでいる方はお気軽にお電話にてご相談ください。
逆流性食道炎やピロリ菌についても過去のブログに投稿していますので、気になる方はそちらも併せて読んでいただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。