いよいよ師走ですね。
最近は、やっとコロナウイルスも落ち着いてきましたが、インフルエンザも流行る季節になってきました。
皆様、年末に向けて体調を崩されませんようお過ごしください。
本日は、内視鏡の洗浄についてお話しさせていただきます。
内視鏡検査は機器の性能向上とあいまって、消化管病変の診断と治療に欠かせないものとなりました。
また、皆さんの健康に対する関心の高まり、人材の育成、機器の普及により検査数も年々増加しています。
その一方で、内視鏡検査による感染が問題となっており、検査に携わるスタッフは、内視鏡の洗浄・消毒方法をよく理解し、手順を守って実施することが大切です。
カメラ(スコープ)の再利用には、「高水準消毒」と呼ばれる消毒が必要となっております。
規定通りの洗浄消毒をおこなっている場合には、患者様間で感染が起きる可能性はございません。
まず、スコープに付着した血液や粘液を洗浄除去することが重要です。
感染が起こるには、微生物の種類だけでなく、その量も影響します。
そのため、検査終了後は速やかに洗浄することが求められます。
洗浄やすすぎで使用する水は、無菌水やフィルターで濾過したものである必要はなく、飲用に適するレベルであれば問題はありません。
ここからは洗浄の手順についお話し致します。
①まず、検査終了後、スコープは光源につないだ状態で、内視鏡外表面の血液や粘液などをタンパクガーゼを用いて十分に拭き取ります。
血液や粘液は、乾燥すると凝塊になって、洗浄剤や装束際が作用しなくなるため、速やかに除去することがポイントです。
②送気と送水を行い、送気・送水チャンネル内に残った血液や粘液を乾燥前に除去します。
200ml以上の酵素系洗剤を吸引します。
③送気・送水ボタンを外して、検査中に逆流した血液や胃・腸液を除去するためのAWアダプターを取り付けます。
約30秒間AWチャンネル洗浄アダプターボタンを押して送水を行います。
ボタンから指を離して約10秒間、スコープ挿入部先端から水が出なくなるまで送気持します。
④内視鏡室の流しに運び、水を流しながら、表面の汚れを酵素洗浄剤とスポンジを用いて、丁寧に洗っていきます。
この時に、送気・送水ボタンなども小さなブラシで洗います。
次に鉗子口(生検やポリープを切除する場合に処置具を挿入する口)や吸引口の中を、専用のブラシを用いて洗うことにより、粘液などの付着を取り除きます。
⑤専用に設計された洗浄消毒機の中にスコープをセットして、先ほどブラシで洗浄した部分に特殊なチューブをはめ込みます。
この機械の中には、特殊な洗浄剤と消毒剤が循環するようになっており、スコープの中と外に洗浄剤と消毒剤を高圧で流すことで、スコープの洗浄消毒を行います。
その後、スコープの中と外を、大量の水ですすぎます。
次に空気を送ることによって、内視鏡の内部から水を追い出します。
また、スコープの内部を乾燥させるために、専用消毒機の中で、鉗子口などにアルコールを注入して水分を除去します。
通常の洗浄消毒過程は、水圧等により前後しますが、通常15~20分程度で終了します。
また、生検鉗子(組織を一部採取する道具)などの処置具を再利用する時には、外側を丁寧に洗った後に、超音波洗浄と滅菌が必要となります。
当院では、このようにガイドラインに沿って感染対策もしっかりとしておりますので、安心して検査を受けていただけたらと思います。