今回のブログは「大腸ポリープの切除」についてです。
大腸ポリープというと「大腸がんの手前の病変なのではないか?」など怖いイメージや、「良性なら放っておいていいんでしょ?」というような楽観的なイメージがあるのではないでしょうか?
どちらも正しいと言えます。
大腸ポリープにはいくつかの種類があります。
まず、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープがあります。
そのうち、腫瘍性ポリープはがんと腺腫に、非腫瘍性ポリープは過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、過形成性ポリープに分類されます。
このうち多く発生するのが、「腺腫」と「過形成性ポリープ」です。
「腺腫」は、がんに変化する可能性があるので切除が望ましいとされています。
「過形成性ポリープ」は、基本的に良性であり、また大きさも3mm程度までのことが多く、放置してよいと言われています。
一方、胃のポリープは胃底腺ポリープか過形成性ポリープであることがほとんどであり、基本的に悪性に変化することはまずありません。したがって胃のポリープは切除する必要がなく経過観察でかまいません。
大腸ポリープのうち、「腺腫」はがんに変化する可能性があり、切除すべきです。
大腸ポリープの実際の切除の方法は大きく分けて以下の3つがあります。
- ①コールドスネアポリペクトミー(CSP:Cold Snare Polypectomy)
- ②内視鏡的粘膜切除術(EMR:Endoscopic Mucosal Resection)
- ③内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)
このうち、当院では①コールドスネアポリペクトミー、②内視鏡的粘膜切除術を行っております。
- ①コールドスネアポリペクトミー(CSP)
スネアという長径10mmほどの金属製の輪を用いて、ポリープを絞扼して切除する方法です。イメージとしては、「ちぎる」ような感じです。
主に大きさが10mm未満のポリープに対して行われます。がんが疑われる病変や茎があるポリープに対しては行われません。
長所として以下が挙げられます。
いわゆる「ちぎる」感じとなるので、切除直後はほぼ少量出血しますが、遅発性に(切除後数時間~2-3日後)出血するリスクは少ないと言われています。
また手技が簡便で、スネアのみで完結します。(後述するEMRの高周波装置や粘膜下に注入する薬剤が不要)
また穿孔(腸に穴が開いてしまうこと)のリスクがほぼありません。
一方短所として、大きいポリープやがんが疑われる病変、平坦な形のポリープには使えません。
- ②内視鏡的粘膜切除術(EMR)
高周波切開凝固装置という電流を流す特殊な機器とスネアを用いて、ポリープを切除する方法です。イメージとしては、「焼き切る」ような感じです。
ポリープの根元に薬液を注入してポリープを浮き上がらせてから、スネアを引っ掛けて、絞めながら高周波電流で切除します。
長所として、熱を使って焼き切るため、手技中の出血が見られることは少ないです。また10mm以上の大きな病変やがんが疑われる病変に対しても施行できます。
短所としては、切除直後の出血はないものの、遅れて出血する可能性があります。これは熱を使って焼き切るため、切除直後はやけどのような状態となっており、このやけどが治る過程で出血することがあります。また熱が粘膜の深部の方へ伝わってしまうことで穿孔のリスクがあります。高周波装置や粘膜下に注入する薬剤の使用などコールドスネアポリペクトミーと比較すると手順が煩雑となります。
手順が煩雑なEMRの欠点を補うことができるのが、コールドスネアポリペクトミーであるともいえます。
しかしながら、それぞれ利点、欠点があり、ポリープの大きさなどに応じて適応を決めることが重要です。
当院ではこのポリープ切除についても力を入れており、検査したその場で切除し、日帰りで対応しております。
また4月からは女性医師による大腸カメラ検査を行っております。
いままで恥ずかしいという思いから検査を受けることを躊躇していた女性の方々にも検査を受けていただけたらと思います。
ご予約はネットからでもお電話でも承っておりますが、検査前には検査説明と下剤のお渡しのために一度ご来院いただいております。
大腸カメラ、大腸ポリープについてご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。